カウンセリング市場は共依存で成り立っています。
こんな、もともこもない「業界の裏側」を開けっぴろっげにしてしまうのは、僕がその仕組みに嫌気が差してしまったからです。
初めは「支援を受ける側」として、そして今度は「支援を提供する側」として。
この根本的な事実を知らずに安易にカウンセリングに手を出すと、知らぬまに精神的にも経済的にもあなたは「搾取」されてしまいます。
今回は、まだどこでも語られたことがない「カウンセリング業界の内情」をあなたに伝えておきたいと思います、、、
カウンセラーにはなれない?
新型コロナウイルスの影響下でメンタルヘルスケア関連の市場拡大がうたわれ、副業、独立開業によってカウンセラーを目指す人が増えてきています。
しかし、そのほとんどがカウンセラーになることなく挫折していまっています。
個人カウンセラー業の事業構造
その理由は、彼らがカウンセラー業の事業構造を理解していないためです。
簡単に言えば、カウンセラーとして稼いでいくための「ビジネスモデル」を知らずにカウンセラーになろうとしている。
だから失敗する、ということです。
ではカウンセラー業の事業構造とはどのようなものでしょうか?
ここからの内容は、カウンセリングを受ける側が、「賢い消費者として、騙されることなく」カウンセリングなどの支援を活用していく上でとても重要な話なのでしっかり理解してくださいね。
-カウンセリング業で失敗する具体例
どんな職種でも事業を継続していくには安定して収益を上げる必要があります。
もちろんカウンセラーもです。
ではカウンセラーが安定して売り上げを得ようとする場合、具体的に「どれくらいカウンセリングをする」必要があるのかみていきます。
例えば8,000円/回のカウンセリングを提供するとします。
この場合、1日に1人、カウンセリングを提供し月20日稼働した場合
・8,000円×20日=16万円
が収益となります。
ここから費用を引いたものが利益となります。
一見カウンセラー業は費用があまりかからないイメージがあります。
しかし、たとえ店舗をも持たずオンラインでサービスを提供したとしてもクライアントを集めるための「広告費」がかかります。
上記シミュレーションの場合、月20人のクライアントが必要になります。
20人の新規顧客を集めるためにどれだけの広告費がかかるでしょうか?
僕の経験上、おそらく、そーとーうまくいっても20万はかかります。(これは実はかなり低く見積もった数字です)
-嘘と思うなら、1万円を手に、今すぐカウンセリングを受けたい人を1人探し出してみてください。
それができたらあと19人。ね、ぞっとするでしょ?-
すると、
・16万-20万=-4万円の赤字ですね。
「1日に2人カウンセリングしたら売り上げが上がるじゃないか」
と思われたかもしれませんが、その場合、広告のための費用も2倍になり、損失も2倍の8万円になります。
「初めは赤字でも、リピーターが増えたら広告費が下がるだろう」
と考えられた方は経営のご経験かセンスがある方です。
半分正解です。
ただ、クライアントがリピーターになってくれるかなんて、やってみないとわかりません。
それを期待して目先の損失を膨らませていく、そんな危なっかしいことを続けていくことは現実的に困難です。
だからほとんどの個人カウンセラーは開業まもなくしてその夢を諦めます。
-単発のカウンセリングをしてはいけない
上記の失敗の理由は、カウンセラー業=カウンセリングを「多くの人に対してどんどんこなして」いく
という間違ったイメージをもって事業に取り掛かってしまったことです。
実際にうまく事業を継続しているカウンセラーは「少数の顧客に対して複数回の」カウンセリングを提供するという
ビジネスモデルを回しています。
平たくいうと、「複数の顧客に対して単発でカウンセリングをする」ということをせず
「少数のクライアントと継続的な関係を築き複数回サービスを利用してもらう」ということをしています。
先ほど、僕が「半分正解」と言ったのは次の意味です。
たくさん集客してその中からリピーターが現れるのを期待して待つのではなく
そもそも継続的な関係を気づける見込み客だけを集める、これが正解です。
ここまで聞いて、カウンセリングサービスを利用したことがある人はピンときたかもしれません。
これが、ほとんどのカウンセラーが「回数券」や、「コースプラン」を勧めてくる「裏側の」事情です。
継続的な関係は必要か?
「カウンセラーの都合で、回数券やコースプランをすすめられていたのか?」
あなたはそう感じたかもしれません。
確かにカウンセラー側の都合でもあります。
ただ、僕は事業構造上の都合抜きに「回数券」や「コースプラン」は必要だと思っています。
(ここで問題は別のところにあるのですが、それは後ほどじっくり見ていくことにします。)
心の問題の支援をしていくなかでクライアントとの間に継続的な繋がりをつくることは
僕はむしろ不可欠なことだと考えています。
理由は単純明快。たかだか数回話をきいただけで問題が解決することなんかない、からです。
これが回数券やコースプランがすすめられる「表側の」事情です
「カウンセリングに行った、吐き出してなんだか気分がよくなった」という経験は僕自身にもあります。
だけど、それは一時的なものです。
そもそも、吐き出すだけで解消する問題なら、身近な人や、それが無理なら安価な「愚痴聞きサービス」を利用して吐き出せばいいということは別の記事で既に述べました。
(cf.カウンセリングサービスの選び方)
一方で、本当に支援が必要なほど深刻な問題に悩んでいるなら、ある程度の、回数・期間をかけてそれに取り組んでいく必要があります。
よって、継続的な支援はやはり必要なのです。
問題は継続的関係が「共依存構造」を持った時
ここまでの話は、単に、カウンセリング業の内情をありのままにあなたに伝えただけです。
そしてあなたはそれを知った上で、やはり必要に応じて継続的な関係を支援者と築いていくことになります。
ただ、僕がこの話題をわざわざ取り上げているのはここからの話が重要だからです。
メンタルヘルスケア業務に際して、往々にして支援者とクライアントは「共依存関係」に陥ります。
それが先ほど僕が触れた「別のところにある問題」にあたる内容です。
あなたはカウンセリングなどの支援を利用する際、この共依存関係についてあらかじめ理解しておかなければ
冒頭で注意喚起したように、精神だけでなく経済的にも支援者に「搾取」されてしまう危険に晒されることになります。
では共依存関係とは何のことでしょうか?
共依存=互いが互いに依存し合っていること。
一つずつ見ていきましょう。
「頼り」にすると「依存」するの違い
支援を受ける側は、そもそも支援者を「頼り」にしています。
自力では解消できない問題に取り組むのだから、支援者の力を必要とするのは当然です。
ただ、僕も支援をする側になって以来、経験上、その「頼り」が「依存」に変わろうとする瞬間を何度か目撃することになりました。
頼りにするという状態には、「主体性」があります。
つまりなんらかの意思(ここでは自身の抱えている問題を解消しようという気持ち)をもった主体が、支援を利用・活用しようという状態です。
そして、その人物から「主体性が失われた」時、その「頼り」は「依存」へと移り替わっていきます。
主体性を失った被支援者は、支援者に全ての判断をゆだねると同時に、問題に取り組む意思そのものを失います。
そうなると、支援は事実上「詰み」となります。
自身の抱える問題を解消できるのは最終的には本人だけです。
(僕が「支援(=アシスト)」という言葉を用いる理由はここにあります。外部からできるのは「救い」ではなく「支援」だけです。)
クライアントが、意思を失い支援者に全てをゆだねてしまったとき、彼にとって支援者は依存先となり、支援は事実上意味をなさなくなります。
支援者もまたクライアントに依存する
互いに互いを依存する共依存のもう一方の片棒は、支援者がクライアントに依存するというものです。
「支援する側が依存なんておかしい」
そう思われましたか?
確かにこれは本末転倒な事態です。しかし、それでありながらカウンセリング市場においてはこれがほとんど常態化しているため
僕はそれを重要な問題と認識しています。
ほとんどの支援者はクライアントに「金銭的に依存」してしまいます。
それは上で説明したカウンセリング業の事業構造を鑑みると、ある意味では起こって当然の事態でもあります。
カウンセリング業は、少数の複数回利用してくれる顧客からの収益に依存して成り立ちます。
逆に言えばカウンセラーは目の前に現れた見込み客をなんとしてでも長期的に関係を持てる優良顧客にする必要があります。
僕はこのことは、クライアントの問題を解消する上で必要なことでもあると述べました。
ただ、それはあくまで「クライアントの利益を第一の目的に置く」という前提の上でのことです。
-「問題を解消してはならない」パラドクス
ここであらゆる支援業が内包するパラドクス(=矛盾)をみてみます。
つまり、「支援者は支援を完遂することにより、その職務を失う」という事実です。
支援者は、被支援者の問題を解決することが任務。
しかし、その任務を全うすることは、自身の職務の終了を意味します。
支援者の「利」が単に、被支援者の救済であれば、矛盾はありません。
しかし場合によっては(少なからず多くの場合)真の「利」が「自身の経済的な利益」であることがあります。
その場合、建前の「利」と本音のそれは「相反する」ためそこに矛盾が生じるのです。
その結果、支援者は「問題を解消してしまわないよう支援しつつ、自身の真の利益を貪り続ける」という道を選ぶことになります。
一言で言うと、「問題を解消してしまったら儲からないからそれをどんどん先延ばしにする」ってことですね。
-問題を「解消しない」カウンセリング手法との整合性
ここまでの話でさらにピンときた方はすでに僕の書いた次の記事を読んでくれている方でしょう。
(cf.カウンセリングサービスの選び方)
現在主流のカウンセリング手法は非支持的(=具体的な助言を避ける)な方法を用います。
つまり問題を積極的に解消しようとしない。
このスタイルと、上に書いたパラドクスはあまりに整合性が高い。
すなわち、カウンセラーは非支持的手法を盾にして
クライアントの問題の解消をいつまでも先送りにして、顧客の金銭だけを食い潰していく
という罪悪を容易に犯すことができるのです。
かくして共依存は成立する
以上の仕組みにより、当事者の意図にかかわらず「カウンセリング市場には支援者とクライアントの間での共依存関係が蔓延(はびこ)る」ことになってしまいました。
僕は自身が「両者の立場」を体験することでこの共依存構造に気がつくことができました。
初めて気づいた時、心底怖くなってしまったのを覚えています。
そして真に恐ろしいことは、支援を受ける側のみならず、支援する側が自身の依存状態を認識できていないことです。
善意により害悪をなす存在ほど、わかりにくく、扱いに困るものはいないことは、あなたもご経験からよくご存知のことでしょう。
共依存を掻い潜るために
僕はこのカウンセリング市場に蔓延する悪構造を単に批判しようとしているわけではありません。
それでも「死にたさ」はなくならないし、支援者の存在はやはり必要だからです。
ではどうすればこの構造を理解した上で、これら厄災を回避することができるか。それが重要です。
そのために僕は支援者側として次の3つの自戒を、自身と事業の仕組みに「リミッター」として設けています。
-1:問題の解消を目的とする
既に別の記事で述べましたが、僕は現在主流の非支持的手法を用いません。
(cf.カウンセリングサービスの選び方)
そうではなく、問題解決のアプローチを用い、具体的な解決策を策定、具体的な行動によりクライアントが抱えている問題の解消に積極的に取り組みます。
ようは、問題の解消を先延ばしにしない、ということです。
-2:継続的な支援の期日を明確にする
僕が提供しているサービスもまた利益構造的に長期的な支援をメインの業務にしていることは確かです。
ただ、それは長期的な取り組みが問題の解消には不可欠であるという「クライアント側の利益」を優先し、運営を続けてきた結果でしかありません。
実際に当事業では長期支援を請け負うに際して「ある一定の期間を超えた支援の継続はそもそもしない」というルールを設けています。
具体的には、継続的な支援を開始する時点で、問題解決までの期日(=デッドライン)を定めます。
そして、期日までに問題を確実に解決する。できなかった場合はその時点で契約を解消(場合によっては費用を返金)する。
これは経営コンサルなどでは、当たり前のことです。
というか、どの業種でもサービスに対して期日を設けたり、役務の成果や範囲を定めることはやはり当たり前のことですね。
なのに(何度も繰り返しても申し訳ないですが)この業界だけはその当たり前があたりまえになっていない。
そんな中、僕は当たり前な方法で支援を提供しているだけです。
クライアントの利益に繋がらない支援は必要ないものなので請け負わない。
それだけのことです。
-3.複数の顧客にそれぞれの必要にあった支援を提供する
どれだけ上記2つのことを意識しようと、目先のお金がなくなれば事業を続けられなくなってしまいます。
それがほとんどの支援者が、「共依存の落とし穴」にはまってしまう主たる理由でしょう。
金がなくなれば手段を選んでいられない、これは人間のもつ本性の一つであることは疑いようがありません。
だからこそ、僕はそれ以外の方法で事業を安定させる事業構造を予め採用しています。
それは、少数の顧客に収益を依存するのではなく、広く複数の顧客から収益を得るという方法です。
具体的には、高額な長期支援の他に、数千円〜数万円の中期的支援、さらに無料から数百円で活用可能なセミナーや講座と
顧客の抱える問題、境遇に応じてバリエーションにとんだ支援体系(=収益源)を準備しています。
そのため、ほとんどのカウンセラーがそうせざる得ないように、一部のクライアントだけに収益源を依存することがないのです。
またこの方法により、より多くの顧客に対して必要に応じた支援を提供することが可能になりました。
そもそも、「死にたい」ひとの抱える問題や境遇は実に多様です。
事業者側の都合ではなく、顧客側のニーズにあわせれば自ずとビジネスモデルはこうした形にならざるを得ない。
にも関わらず、こうした事業構造を持つ支援事業者が現状どこを探しても見つからないのは
これまで「支援を必要とする人の側」に立って、それを実現しようとする事業者が現れることがなかったからでしょう。
僕がそれを志した理由は、かつて僕が「支援を必要とする側」だったから。
そして望んだ支援がこの世のどこを探してもみつからなかったから。
その結果、僕がどんな目に遭うことになったかは、ここにたどり着いてくれたあなたは既にご存知だと思います。
支援を必要とする側に立つ、これも本当は当たり前のことです。
支援者に依存されないためにできること
では消費者として、支援を受ける側としてあなたができることはなんでしょうか。
それは僕が掲げている上記3つの「当たり前」のリミッターのうち、上から2つを支援者が設けているか、それを事前に調べることです。
(2つに限定したのは、現状カウンセリング業界で3つ目の方法を用いている事業者は僕以外にいないことがほとんど自明のことだからです。)
これは次の2つの質問で調べることができます
・あなたは私の問題を解消を支援してくれますか?
・そうであればそれはいつまでにですか?
これに答えられない、もしくは言葉を濁す支援者は、僕の言葉で言うところの「品格の低い」支援者だということです。
(cf.心の問題を扱う支援者の品格)
最後に
今回はカウンセリング市場に蔓延する根本的な問題を掘り下げていきました。
この構造の存在に気づくと、この国の「自殺志願者の数が増え続けれど、減ることはない」理由がよくわかります。
ただ、この仕組みに僕たち少数が気づいたところで事態はほとんど変わることはないでしょう。
それでもあなたは賢い消費者として、良き支援を選ぶことはできます。
また僕としても、良き支援者までは自称できずとも
当たり前のことを当たり前にする、「当たり前の支援」くらいは自負をもって掲げていくことは実際にできるようにはなりました。
以上の正しい認識を互いに持ち合わせた、主体性をもった支援者・被支援者の組み合わせだけが
共に歩みをすすめることで、目的地にたどり着くことができるのだと、僕は固く信じてこの事業を続けています。
そしてそのことは、今のところ、クライアントの方々が持ち帰ってくれる「成果」として着実に証明されてきています。